「こだわっているのは実は自分だけだった、ということが、節約生活でよくわかりました」(紫苑さん)

紫苑 私の通っている商店街のお店は、スーパーより新鮮で安い野菜や魚が多いんです。だから、近所のお店で必要な分だけ買うスタイルが合っているような気がします。

荻原 年金生活者になったら、お財布に合った暮らしをするのが基本です。バブル経験者は、「ワンランク上」と「自分へのご褒美」という言葉に弱い(笑)。この2つを捨てるとラクになれるし、節約生活も楽しめるはずです。

紫苑 懐かしい言葉ですね(笑)。私もそうだったからよくわかるのですが、「ご褒美」は目の前の生活が楽しくないから必要になるんですよね。今は不要な見栄を張ってストレスが溜まることがないので、ご褒美は必要ありません。

荻原 そもそも、女性は年齢や状況に合わせて考え方を変える能力に長けていると思います。以前、若い独身女性向けの雑誌で連載していたことがあったのですが、当時の読者は、月のお給料をすべて自分のお小遣いとして使うような人たちでした。

でも数年後、今度は育児雑誌で連載の依頼があって。母親になったかつての女性読者たちが、「せめて月に3000円でいいから、自分のお小遣いがあればなあ」なんてつぶやいているんですよ。

紫苑 結婚、出産を経て生活が180度変わり、考え方も変えざるをえなくなったわけですね。

荻原 でも、だからと言って決して不幸だと思っているわけではないんです。全身ブランド物で固めていた女性が、子どもをママチャリに乗せて、一円でも安いスーパーに買い物に行く生活になっても、それはそれで楽しんでいる。女性にはそういうタフさがあるんです。

紫苑 私は見栄やプライドをなかなか捨てられない時期がありました。本当は誰もなんとも思わないのに。こだわっているのは実は自分だけだった、ということが、節約生活でよくわかりました。