敦成親王を出産
9月10日、彰子は大変な難産の末に敦成親王を出産した。
『紫式部日記』には、「御もののけのねたみののしる声などのむくつけさよ(物の怪が恨んで騒ぐ声のおどろおどろしさよ)」「阿闍梨の験のうすきにあらず、御もののけのいみじうこはきなりけり(坊さんの霊力が弱いのではなく、物の怪がものすごく強いからだ)」などと記されている。
摂関家出身の中宮はそれだけたくさんの怨みを買うものだと認識されていたのであり、それから身を守るバリアである高僧の加持祈祷とのせめぎ合いの中で出産がおこなわれたのである。
この出産によって藤原道長の天下はようやく安定したといえる。