時事問題から身のまわりのこと、『婦人公論』本誌記事への感想など、愛読者からのお手紙を紹介する「読者のひろば」。たくさんの記事が掲載される婦人公論のなかでも、人気の高いコーナーの一つです。今回ご紹介するのは愛知県の50代の方からのお便り。毎年、野球観戦好きの夫にテレビを独占されるのが憂鬱だった夏の季節。しかし、今年の夏は違ったようで――。
大谷選手のおかげで
毎年、夏が来るのが憂鬱でした。私は暑さに強く、食欲も落ちないので、バテることはありません。問題は、夏は野球が盛んなこと。
春にプロ野球が開幕すると、夫は仕事から帰るなり、ビールを飲みながら野球中継を見始めます。野球というスポーツそのものが好きなので、すべて観戦しないと気が済まない。
最近、地上波で野球中継が減ったので、新聞のテレビ欄を確認しながら、「よし、今日は放送がないから好きなものを観られるぞ!」と思う日もあったのですが、それも束の間。夫は全試合放送される衛星チャンネルを契約し、快適な観戦ライフを取り戻しました。
そのチャンネルでは私の好きな韓流ドラマも放送されているし、お金は夫が出しているので文句は言えません。
夏はこの生活に、高校野球が加わります。ちょうど夫のお盆休みと重なるので、朝から晩まで野球漬け。ルールもわからないスポーツに趣味を奪われ、毎夏ストレスに感じてきたのです。
ところが昨年、大谷翔平さんたちが出場したWBCをなんとなく一緒に観ていた私に転機が訪れました。顔と名前がわかるのは大谷さんくらいだったのですが、みんなが一生懸命闘う姿に、思わず胸が熱くなって。
興味を持ち始めた私に、夫がルールや戦術をやさしく教えてくれます。ほかにも贔屓の選手ができ、すっかり野球ファンになっていました。
もともと夫とは晩酌をともにしていましたが、今では、野球観戦も一緒に楽しむように。「今日の先発の彼はカットボールが武器だよね」なんて言って、驚かせています。