遍路めぐりは休み休みで
定年後は少しゆっくりとした時間を過ごしたい。そう思い、長年の夢だった四国霊場八十八ヵ所参りに取り組んでいる。数ヵ寺ずつ分けてめぐる、車でのひとり旅だ。
長い階段を上った先にあるお寺ならではの澄んだ空気を味わい、お坊さんが一心に唱えるお経や響き渡る鐘の音に感じ入る。時には宿泊し、寄り道しながらの珍道中。同じくひとり旅の外国人男性に助けられたり、懐かしい人と偶然再会したり……。やさしさに触れ合う旅に、これまでを労ねぎらわれているような気持ちになる。
まだ65歳、されど65歳。12月にある、夫の三十三回忌法要までに結願したいが、頑張りすぎず休み休み。
心に余裕のあるおばあちゃんになることが、一番の目標だから。