海外で暮らしていた時期

毎日新聞社で記者をしていた父の仕事の関係で、私は小学1年生をボストン、4年生をウィーン、5年生をジュネーブで過ごした。

こういうと何やらカッコよく聞こえるかもしれないが、海外で暮らしていた時期は私の人生における黒歴史だ。

『身辺整理 ─ 死ぬまでにやること』(著:森永卓郎/興陽館)

私がボストンへ渡ったのは1964年、日本人の海外渡航が自由化された最初の年だった。

この時は厳密に言うと、新聞社の仕事ではなく、マスメディアで働く人を対象にした留学生試験に父が合格し、ハーバード大学で学ぶための転居だった。

サラリーマン家庭である我が家が裕福だったはずもないのだが、父は、自費で家族全員を帯同した。

父は最後まで話さなかったのだが、そのとき相当な借金をしたはずだ。

だから小学3年生までの我が家はとても貧乏だった。