ミニカーコレクション

ただ、ウィーンへの渡航は父の「仕事」だった。

当時はよい時代で、支局長には日本の給与と海外の給与が二重に支払われていた。

突然、家が裕福になったのだ。

友人ができず、家に引きこもる私を、父は不憫に思ったのだろう。

日本ではとても高価だったミニカーを、それこそ毎日買い与えてくれた。

ウィーンで最初に買ったミニカー(写真:『身辺整理 ─ 死ぬまでにやること』より)

ウィーンからジュネーブへの転勤を経て、小学6年生で日本に戻ってきたとき、私のミニカーコレクションは1000台を超えていた。

※本稿は、『身辺整理 ─ 死ぬまでにやること』(興陽館)の一部を再編集したものです。


身辺整理 ─ 死ぬまでにやること』(著:森永卓郎/興陽館)

2023年12月、ステージ4すい臓癌で突然の余命4か月告知。

あした死ぬことがわかった私は終活をはじめた。

モノ、時間、お金、死を目前にしたとき、なにを始めたのか。著者、渾身の一冊。