リリー・オンコロジー・オン・キャンバス 写真部門最優秀賞『勇気の蝶』
写真部門最優秀賞『勇気の蝶』青木 朱那(あおき あやな)さん
がんと告知された時の不安、がんと共に⽣きる決意、そしてがんの経験を通して変化した⽣き⽅など、⾔葉だけでは伝えきれない想いを絵画・写真・絵⼿紙で表現する「場」があります。がんサバイバーの方の思いが詰まった作品を紹介します。

片胸をとる決断をした私が出会った一羽の蝶

右乳房を全摘出することに決めた、1週間後。

ふと縁台でぼーっとしていると、洗濯物に何かがとまっているのがみえた。

よく庭でみかけるアゲハ蝶。“こんなに近くでみられるなんてラッキー、嬉しいなぁ~。あれ?片方の羽が欠けてる!私と同じだ…!”

驚きと嬉しさとでいっぱいになりながら、どうしよう、どうしようと慌てて撮ったのが、この1枚。

当時、23歳。片胸をとるという選択をするまでの約1ヵ月、毎日毎日悩んで考えた。

決断をしても、本当にこれでよかったのかな、片胸がなくても幸せに生きてゆけるのかな、女性としての何かを失ってしまうようで、怖くもあった。

そんなことをぐるぐる考えてしまう中、出会った一羽の蝶。