足並みを揃えることこそ心の安寧を維持するのに必要なのだ、と
中学校のクラスメートの女子たちが“たのきんトリオ”のファンならば、話題についていくために普段見ないテレビ番組を見たり、雑誌を読んだり、情報共有ができるように頑張った。
嗜好を無理に周りと合わせるのは難しかったが、家での孤独感を耐え抜くには、外での友達関係を強固に築くことが一番効果的だと信じていた。自己主張を抑え、友人たちと足並みを揃えることこそ心の安寧を維持するのに必要なのだ、と理解していた。
しかし、とある出来事をきっかけに、私の中でこの社会的調和の心得が崩壊してしまった。当時所属していたブラスバンド部でリーダー的存在だった女子から同学年の女子たちに、私を無視するようにという命令が突然下ったのである。
いつのまにか構築されていたグループの戒律を私が守らなかったことが理由だった。リーダーである彼女を誘わず、ブラバン仲間の数名と映画に行ったのがいけなかったらしい。