それからすっかり面白くなって、難易度の高いボカロ曲(ボーカロイドというソフトウェアを使って作曲し、歌声も機械で作る楽曲)を、生身の人間である私が歌いこなせるのか挑戦する動画を投稿。

今回のコンサートでも、「千本桜」などボカロの名曲を数曲歌いました。会場には演歌を聴きに来てくださった年配の方もいれば、ボカロ曲を楽しみに来てくださった若い方もいて、嬉しかったですね。

当初、「小林幸子もニコ動に出るようになったら終わりだ」などと言われていたようです。でも、そういうことを言ってはダメですね。時代は刻々と進んでいるのですから。若者に迎合する必要はありませんが、やってもみないで拒絶するなんてもったいないと思います。私は、自分の歌でみなさまに楽しんでいただけたら本望なのです。

ベテランだなんていうプライドは手放し、新たなことに挑んでダメだったらやめればいい、というくらいの軽やかな気持ちで歩んできました。結果、歌手人生の中で今が一番楽しいです。

デビューしたころ、古賀先生が「いいかチビ、歌でお腹をいっぱいにすることはできないけれど、人の心を温かくすることはできるんだよ」と話してくださったことが忘れられません。先生の言葉を胸に、これからも歌い続けていきたいと思っています。