歌手活動に反対しながらも、最後まで寄り添ってくれた母と(写真提供◎幸子プロモーション)

それだけに、25歳のときに発売した28枚目のシングル「おもいで酒」が有線放送で1位になったと聞いたときは、耳を疑いました。おかげさまで大ヒットにつながり、その年の『NHK紅白歌合戦』に初出場。それから数年後には、小林幸子といえば巨大衣装、というくらい派手なステージを届けるようになりました。

あれは、全国のみなさまに喜んでいただきたい一心だったんです。ライバルは、前の年の自分。毎年スタッフと一丸となって準備するので大変でしたが、楽しかったですね。

ところが2012年、事務所のことでマスコミからバッシングを受けてしまい、そこからの3年間は『紅白』にも出ていません。悔しかったけれど、私は鏡の前で「あなたは強いから大丈夫!」って何度も自分に言い聞かせました。歌いたいとはっきりと思っていたし、その気持ちがブレることはなかった。

私にとって、好きなことを続けるために突き当たる壁は、《苦痛》ではなく、今乗り越えるべきものという感覚。そして、その先には必ず希望があると信じていました。