平安時代「美髪」のヘアケア事情
貴族女性の場合、侍女たちがしていたのだろうが、梳(と)かす方もされる方もきっと忍耐が必要だったに違いない。では、彼女たちはその長い髪の手入れ、洗髪はどうしていたのだろうか。
現代と違い、髪に潤(うるお)いや艶を与えるシャンプー等なく、「ゆする(米のとぎ汁)」や「灰汁(あく/灰を溶かした水の上澄み)」を使って洗っていたようだ。
しかし洗髪はそう頻繁(ひんぱん)にはできなかったようである。様々な説(3日に1回、5日に1回など)があるが、ドライヤー等はなかった時代である。
洗髪というよりも髪を乾かすのにきっと恐ろしく時間がかかったと推測され、月に1~2回という説が妥当ではないかと思う。
ただし、椿油(つばきあぶら)は使われていたようである。長く豊かな髪を保ち、美人の条件を満たす努力は大変であったに違いない。
また、20キロくらいあったとされる唐衣裳装束を身につけ、さらに身丈よりも長い髪を伸ばすとなると、如何ほどの重さになったのだろうか。想像すると、現代人に生まれて良かったと思う人も少なくないだろう。