外交・安全保障政策の議論

外交・安全保障政策も同様です。岸田政権が打ち出した敵基地攻撃能力の造成について、国会での議論はなかなか深まりませんでした。

しかし、明らかにすべきことは多々あるはずです。例えば「敵基地」の範囲をどう捉えるか、専守防衛との関係をどう整理するのか。

政府は「日米の役割分担は基本的には変えない」と答弁しましたが、従来の「米国が矛、日本が盾」という分担は、他国への一定の攻撃能力を備えることで当然に変わるはずですから、「基本的」とすべき部分はどこなのか、つまり変わらない部分は何かを詰めるべきなのです。

与党内の議論では必ずしも十分ではなかった点こそ、野党が本質的議論の担い手として質疑してほしいのです。

私が閣僚を務めていた小泉・福田・麻生内閣時代の野党の予算委員会での質問は、岡田克也氏、前原誠司氏、長妻昭氏等の名だたる論客が質問に立ち、一人が最低でも1時間、多い時は2時間近くの質疑時間を使って鋭い質問を政府に浴びせていました。

我々閣僚は時計を見ながら早く時間がたたないかと念じていたのですが、そのような時にはなかなか時間が進まないように思った記憶があります。

ベテラン閣僚の中には、わざと論点をずらして時間稼ぎをするテクニックを得手とする人もいたのですが、一人の持ち時間が多いとこの技もあまり効果を発揮せず、畢竟真剣勝負にならざるを得ませんでした。