最近の野党について感じること

私は衆院予算委員会の委員を務めていました。テレビの国会中継では、いつも質問者の後ろに映っているのが見えたと思います。

別に映りたいと思っているわけではなく、「あいうえお順」でたまさか私の席がそこにある、というだけの話なのですが、国会で晴れ舞台といわれる予算委員会の審議を長年聞き続けてきた議員の一人であることは間違いありません。

その私から見て、最近の野党について、感じることを率直に申し上げます。

まずは、野党らしさが失われている。国民からの批判を恐れてか、「対決より解決」「提案型」にこだわり、まるで与党議員の発言のようで、野党としての存在意義が感じられないことが多くなっています。

対する閣僚が事務方の用意した答弁をそのまま読み上げても、二の矢、三の矢で議論が深まることも滅多にありません。

「丁寧なご答弁をいただきありがとうございます。時間もないので次の質問に移ります」とあっさり引き下がる人が多いことにも驚かされます。

『保守政治家 わが政策、わが天命』(著:石破茂 編集:倉重篤郎/講談社)

予算委の質疑を聞いていてもう一つ気になるのは、最初から各論を問う場面が多いことです。つまり、大きな問い、本質的な議論に挑むというより、細かい政策についての話が多い。

しかし、各論では政府にかなうはずがないのです。持っている情報量も圧倒的に多いし、細かい政策の話だと選択の幅が狭くなるので、野党が大きな違いを示すことはとても難しい。野党議員には、現実政治に責任を持つ与党にはできないような大局的、かつ根源的な議論をしてほしいのです。

例えば経済政策。この10年続けてきたアベノミクスの検証を広範に提起する。これはなかなか政府与党にできるものではありません。野党だからこそ問いかけられることです。

立憲民主党はアベノミクスの検証報告書なるものを作ったはずですから、それを党を挙げてあらゆる質疑に活用し、政府与党の襟を正させるような問題提起をしてほしい。