苦手な理由

なぜそういう場が苦手だと思うのかというと、男性から女性として品定めされることに恐れを感じるからだと思う。振り返れば、中学生の時、クラスの一軍女子たちにいじめの標的にされると、男子たちから「キモイ」とよく言われ、まるで毛虫でも見るような目で見られた。行事で男女ペアを作らないといけない時は、「あいつとはなりたくない」「罰ゲームじゃん」と陰口を叩かれた。子ども時代のことだから、いい加減忘れればいいのに。でも、子ども時代の心がまだ柔らかい時に植え付けられる感覚はとても鋭く、心にクッキリと痕を残す。そういった経験から、自分はうとましがられる存在なのだ、と強烈に思い込むようになった。

また、もうひとつこじらせているのが、男性はみな、たぬき顔の華奢な女の子が好きなのだろう、という思い込みだ。私はいわゆる男顔で、身長も170cmを超えており、モテるタイプと真逆だと思う。しかし、この話を友人すると、女性だってみんなマッチョが好きとは限らないように、男性だって色んな好みの人がいる、と諭された。

『死ねない理由』表紙
『死ねない理由』(著:ヒオカ/中央公論新社)

言われてみればそうだ。私はいわゆる女性ウケするタイプの男性が苦手だ。ムキムキのマッチョが苦手だし、男らしいワイルドさを「怖い」と感じてしまう。また、高身長の女性はコンプレックスが目立たないように高身長の男性を好むと聞くが、私は別に男性の身長は低くても高くてもどちらでもいいと思う。
だから、マッチョがモテの絶対条件! みたいな投稿がSNSで流れてくると、「苦手な人もいます」と言いたくなる。

それなのに、自分は男性はみんな同じタイプの女性が好きに違いない! と思ってしまうのは、決めつけが過ぎるのかもしれない。