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姿勢が悪いと老けて見えるだけでなく、肩や首、内臓の負担も大きくなります。背筋がピンと伸びた姿を目指して、ストレッチを日課にしましょう(構成◎村瀬素子 イラスト◎きじまももこ)

進行しないと変化に気づけない

年を重ねるにつれ、姿勢の悪さを実感する人は多いのではないでしょうか。

そもそも良い姿勢とは、体の大黒柱である背骨が緩やかなS字を描いている状態のこと(「理想の姿勢」参照)。頸椎(けいつい)は前方に、胸椎は後方に、さらに腰椎が前方にカーブすることで、重力や頭の重さを分散して首や腰への負担を和らげる合理的な形です。

しかし、背筋力は40代から衰えはじめ、連動するように背骨の柔軟性も低下。さらに体を動かさなくなってくると、骨と骨の間でクッションの役割を果たしている椎間板(関節)の水分が抜けて薄くなり、頭の重さに耐えられず重心が前方に移動してしまいます。それが、いわゆる“ねこ背(C字)”の状態です。

問題は、姿勢の変化は気づきにくいということ。背骨は頸椎、胸椎、腰椎の合計24個の骨からなり、関節で繋がって連動しています。その関節の1つが硬くなっても残りの23個で補うため、姿勢に変化はありません。自分や周りが気づいたときには、かなりの数の関節が硬くなっていて背骨が変形したり、背が縮んだりしてしまっているのです。

こうした姿勢の変化を放置すると、さまざまな不調を招きかねません。たとえば、ねこ背は上半身が前かがみになるため、腰、肩に負担がかかり、痛みが出てしまうことに。ねこ背によって首が前方に突き出る“かめ首”も、あごを上げて首を持ち上げようとするため、首の凝りや頭痛を引き起こします。

ほかにも、転倒のリスクが高まる、胸椎が丸まることで肺や胃腸が圧迫されて働きが低下し、息切れ、便秘といったトラブルに繋がることに。また、首のシワ、二重あごなど、美容の面にも影響が出てしまうのです。