イメージ(写真提供◎Photo AC)
身近な人に看護・介護が必要になったとき、みなさんはどこに相談しますか?
病気やケガで通院した後の在宅医療の支援であれば、病院の「医療連携室」などの窓口へ。認知症で要介護認定されれば「地域包括支援センター」へ。……基本的には主治医からの紹介先や案内があれば、そちらに向かえばいいわけです。
ただ複数の窓口に混乱したり、そもそも主治医からの紹介先が遠かったり……複数の病状に悩むケースもあるでしょう。
総合的な相談先として、主治医の所属機関を問わず、活用できるのが「訪問看護ステーション」です。
その地域に開かれた独立した事業所である「訪問看護ステーション」に、黎明期から関わり、自ら起ち上げた「桂乃貴メンタルヘルスケア・ハートフル訪問看護ステーション中目黒」で、自分自身も看護に当たるのが渡部貴子さん。
自らの経験を元に、介護や看護で困っている読者の方への駆け込み寺:【おとなの相談室】の先生として答えてもらうのがこの連載です。
専門の「在宅看護」を主軸に、切っても切り離せないメンタルケアを含めて、質問していきます。第8回目は、「身内にいる【おひとりさま】に向けて(1)」です。
(構成◎野辺五月)

前回「介護や看護に困ったら【おとなの相談室】7」はこちら

手を差し伸べられる距離を保つ

Q:年老いた兄がいわゆる「おひとりさま」です。最近、ちょっと忘れっぽい様子で本人も「ボケが始まるのが怖い」と訴えるのですが、私が病院を勧めると「行かない」と拒否されています。どうすればいいでしょうか。

A:無理やり行こうとさせず、まずは見守って、いざというときに手を差し伸べられる距離を保つように心がけましょう。

認知症や精神疾患については、強引に受診させてもあまり意味がありません。結果的に脱走したり、治療を拒否したりということも事実よくある話なのです。

特に、男性は、【本当に困るまで】病院に行きたがらない傾向があり、言い聞かせれば聞かせるほど意固地になり、結果、孤立してしまうパターンも少なくありません。またようやく動いた時には大分遅く症状が悪化するケースもあります。

今回のケースでは、今のところ、まだ何も起きていない状況かもしれませんが、敢えてご本人が不安を言葉にしているということは何かのサインかもしれません。またそうでなくても、今後を考えて動くのにいい機会ですので、見逃さない手はないです。