コメディを地でいくような現場

── 撮影中、上田監督がコロナに感染されたりして、大変だったそうですね。

内野:そうなんです。私の感覚なら「そりゃ撮影はお休みになるだろう」って思ってたんですけど予算の都合なのか(笑)監督のコロナ感染後も撮影は続行となりました。というわけで、監督の自宅と現場をオンラインでつないでリモート演出で撮影することになったのです。

通常は「現場のカメラマンさんが撮る映像」だけでいいのですが、それに加えて「(上田監督のために)俯瞰で撮影現場を撮る映像」の2台のカメラを使って、監督が演出を進めていくんです。

我々現場の役者や助督は、監督の指示で演じる位置を決めるのですが、カメラマンの映している映像と、監督のイメージにずれがあったりして、どうも監督が思い描く画と、現場のイメージがなかなか噛み合わなくて、「現場は踊る…されど進まず」みたいな状態が続いたのです(笑)。それが滑稽で、本当にコメディを地でいくような状況でした。

内野聖陽さん
監督が思い描く画と、現場のイメージが噛み合わなくて「現場は踊る…されど進まず」状態が続いたと語る内野さん