見栄を削ぎ落として

僕らが司会進行をしていたNHKの『ロッチと子羊』という哲学番組の影響もあったかもしれません。

番組では、皆さんの話を聞きながら哲学の先生と悩み、相談に乗っていくのですが、そこで知ったのは古今東西、人の悩みは同じだということ。

欲深かったり、つまらない見栄を張ったり……。悩みに答える哲学者は、孔子やプラトンなど1000年以上も昔の人なのですが、結局は「人と自分を比べない」とか、割と当たり前のことを説いています。

僕は趣味を選ぶ時、例えばサーフィンについても、「カッコいいと言われたいからサーフィンをやっている、とは絶対に思われたくない」という気持ちがありました。

「こう思われたい」っていう自分の気持ちはもちろんですが、「狙ってるようには思われたくない」というのも邪魔な見栄だって気づいたんです。そんな誰かの視線について一切考えることなく、“自分が楽しい”という気持ちだけで趣味を選びたいな。そう思うようになった結果として、「ミシン」にたどりついたんです。

コカドさん「“自分が楽しい”という気持ちだけで趣味を選びたいな。そう思うようになった結果として、ミシンにたどりついたんです」

これまで他の趣味を色々試していたおかげで、自分のミシンへの想いには一点の曇りもない、と直感することができました。他の趣味に出会っていなかったら、ここまでのめり込んでいかなかったかもしれません。