だから、もう一度お笑いをやろうと

もともと僕は服が好きで、古着屋さんになりたいと思っていた時期がありました。

その一方で、高校一年でNSC(吉本興行のお笑い芸人養成所)に入り、お笑い芸人としてのキャリアをかなり早めにスタートしています。

お笑いの世界に不満はなかったのですが、まだ若かったので古着屋さんも諦めきれず、ネタ作りは一旦脇に置いて、古着屋さんに勤めることに。

著書で作り方を紹介しているミシン作品の一つ。厚手のコカドパンツ・コーデュロイ(『コカドとミシン』より)

当時は、毎日古着とふれあうのが楽しくて、「ああ早く明日もお店に行きたい」と思っていました。するとなぜか逆に、「いつでも古着屋さんには戻って来られる。だから、もう一度お笑いをやろう」という意欲が湧いてきたんです。

それから古着屋さんの仕事に戻ることはなかったのですが、趣味探しの合間にふと、あの古着を扱っていた楽しい日々を思い出していました。古着と触れ合って楽しかった感覚が呼び醒まされるような趣味はないかな? あのワクワク感はどこから来たんだろう? と考えたんです。

服にまつわるワクワク。そこでのいくつかのピースが繋がって、「ミシンをやってみよう」となりました。