治療に関する原則

『がんから始まる生き方』で、僕はこうも述べています。「自分の治療に関して、私は原則を決めていまして、原則に従います。まず、最初に医者を選ぶ。そして、選んだあとは文句を言わない。これが原則です。」

医者はすでに中川さんを選んでいます。ということは、東大病院の先生たちを選んでいることになります。その先生方の治療方針には従いますし、文句を言うこともありません。

『養老先生、がんになる』(著:養老孟司、中川恵一/エクスナレッジ)

よく言っていることですが、いったん医療システムに巻き込まれてしまった以上、もはや引き返すことはできません。

直腸ポリープの切除やら、生検やらで、すでに1週間以上入院していますが、抗がん剤は早く始めたほうがよいというので、退院せずに、そのまま抗がん剤治療に突入することになりました。入院がさらに長引くことになったわけです。

世の中に病院が好きな人はいるのでしょうか? 少なくとも、僕は嫌いです。病院は監獄や学校のようなところですから、自由がありません。

もちろん、医師は患者さんのためを思って管理しているのですから、入院してしまったら、文句を言ってもしょうがありません。そもそも、先に「文句は言わない」と宣言しているのですから、不満があったとしても、辛抱するしかないのです。