藤原道長の晩年と臨終を振り返る

それでは今回は『光る君へ』最後の感想記事にふさわしく、藤原道長の晩年と臨終とを振り返ってみましょう。

本郷先生のロングセラー!『「失敗」の日本史』(中公新書ラクレ)

1019年(寛仁3年)はじめ、53歳前後の道長は視力の低下と胸病の発作に悩まされていました。これは彼が患っていた慢性的な糖尿病が原因と思われます。そのため3月、彼は自邸の土御門殿で出家し、貴族としての生活にピリオドを打ちます。

中級以上の貴族の子弟は10代前半に元服すると、従五位下の位階を授かり、然るべき官職に就きます。そこから彼の貴族人生は始まるわけです。

年月が流れやがて彼は引退すると、官職を返上します。

たとえば中納言で引退すると、彼は「前(さきの)中納言」となる。ただし位階は元のままです。その人の等級としてついて回る。

彼が位階から解放されるのは、出家したとき、もしくは亡くなったとき、となります。