最晩年を法成寺で暮らした道長

極楽往生を願った道長は、土御門殿に隣接して堂舎を建てました。その中心的な建物が九体の阿弥陀如来を祀った阿弥陀堂、無量寿院です。

当時は往生を願って、阿弥陀堂が盛んに造られました。

ぼくが好きなのは、福島県いわき市にある白水の阿弥陀堂(国宝)。それから九体の阿弥陀仏がいらっしゃる、といえば京都府木津川市の浄瑠璃寺の本堂(国宝)です。九体の阿弥陀様をズラリと、というのは『観無量寿経』にある「九品往生」の考えに基づくもの。

実に贅沢ですね。道長の無量寿院を最初の例として、記録に残るものだけで30数例が確認されるそうですが、現存するのは浄瑠璃寺本堂一つです。

無量寿院を含むお寺全体は法成寺と名づけられました。道長は最晩年をこの寺で暮らしていました。