親の財産を親の老後のために使えるように
従来、認知症対策としては、贈与税を払ってでも子どもに財産を贈与することが主な手段でしたが、2006年に信託法が改正され、「家族信託」という新しい仕組みが誕生しました。
これにより、親の財産を子どもの名義に「信託」という方法で変更し、親のためにその財産を管理し、認知症対策と相続対策を同時に行うことができるようになりました。
この家族信託は、信託銀行が行う信託とは異なり、より柔軟で親しみやすい制度です。私は、「日本の3つのモッタイナイ」を解消したいと考えています。
1つ目は、認知症高齢者の財産が凍結されて使えなくなること、2つ目は、全国に増え続ける空き家の問題、3つ目は、介護や相続をめぐって家族が対立し、関係が壊れてしまうことです。
この「3つのモッタイナイ」をなくすために、家族信託や関連制度について、できるだけわかりやすく解説し、皆様の将来の安心をサポートしたいと思います。
制度を活用することで、「親の財産を親の老後のために使える」ようになることを、心より願っております。
※本稿は『親が認知症になると「親の介護に親の財産が使えない」って本当ですか?』(大和出版)の一部を再編集したものです。
『親が認知症になると「親の介護に親の財産が使えない」って本当ですか?』(著:杉谷範子/大和出版)
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