親が認知症になったら…(写真提供:Photo AC)

超高齢化社会を迎えた今、親の介護は身近なものとなっています。しかし、そんな中子どもが親の財産を代理で処分することが難しくなってきているというのです。いざというときに「親の預貯金がおろせない」「実家が売れない」そんな事態を未然に防ぐにはどうすればいいのでしょうか?テレビ・雑誌で活躍する資産凍結対策のプロ、杉谷範子さんが解説する『親が認知症になると「親の介護に親の財産が使えない」って本当ですか?』より一部を抜粋して紹介します。

親の通帳と印鑑があれば、子が銀行でお金を引き出せる?

「子どもが親の通帳と印鑑を持っていけば、親が認知症でも銀行でお金を引き出せるのではないか?」とか、「書類と実印があれば、親の代理で不動産を売却して介護費用を工面できるのでは?」と思われた方も多いかもしれません。

たしかに、20年ほど前までは、子どもが親に代わってこうした手続きは比較的容易にできました。

しかし、現在はまったく異なる状況になっています。

今の時代は「本人の意思確認」が非常に重視されるようになっており、親の財産を代理で処分することが難しくなっているのです。

認知症を患う高齢者が増加する中、私たちは親の財産管理や相続について早めに準備をしておく必要がありますが、多くの方は「そのときになれば何とかなるだろう」と考え、放置してしまうことが少なくありません。

また、認知症が進行した親を目の前にしても、「何から手をつけてよいのかわからない」という理由で行動に移せず、事態が深刻化してしまうこともあります。