「財産の凍結」という問題も

また、親が亡くなった場合も、「財産の凍結」が問題となります。

たとえば、父親が亡くなったときに、母親がすでに重い認知症を患っていた場合、遺産分割が進まず、遺産分けができず、母親の介護費用の捻出や相続税の支払いができなくなるリスクもあります。

こうした「認知症による財産の凍結」は、決して他人事ではなく、誰にでも起こり得る問題です。

「成年後見制度」を利用すれば、凍結が解除され、後見人が財産を管理できますが、この制度にも多くの課題があり、国連からは制度の廃止を勧告されている状況で、今後の改正が議論されています。

私は、これまでNHK総合テレビの『あさイチ』や『クローズアップ現代+』『ニュースウォッチ9』などの情報番組に出演し、認知症による資産凍結の問題とその予防策について訴えてきました。

この問題を適切に理解し、早めに対策を講じないと、今後ますます困る家族が増えてしまうと強く感じているからです。

 

家族信託という新しい仕組み(写真提供:Photo AC)