紫式部の氏神・大原野神社へ
そしていよいよ旅は最終目的地、大原野神社へ。
ここは延暦3年(784年)に長岡京遷都の際の守り神として春日大社の分霊を歓請したことにはじまり、その後、嘉祥3年(850年)に社殿が造営されると、春日大社、京都・吉田神社と並んで「藤原氏の氏神三社」のひとつに数えられるようになったという、やはり由緒ある神社です。
貞観3年(861年)以降、皇后の参拝が再々あり、円融天皇や一条天皇も度々行幸するなど、藤原氏のみならず、朝廷からも特別な崇敬をうけたそう。特に藤原氏の家に女の子が生まれると「皇后・中宮になれるように」と祈願に訪れ、その通りになると行列を整えて参詣することが通例となっていた、ということでした。
なお中宮・彰子が行啓した際には、紫式部もお供したといわれ、『源氏物語』にも、二十九帖「行幸(みゆき)」の巻に、大原野へと向かう冷泉帝の行列が描かれています。
紫式部は、父・為時の赴任に伴って都を離れたとき、越前の日野岳に大原野の小塩山を重ねて次の歌を詠んでいます。
ーーここにかく 日野の杉むら 埋む雪 小塩の松に 今日やまがへるーー
ここ(越前)では、日野山の杉たちを埋めつくすくらい雪が降っている。都でも雪は降っているでしょうか、小塩(おしお)山の松にちらちら降る雪

実際に歩いてみると、森の中にある美しいこの神社が、紫式部にとって特別な場所だったことがよくわかります。
そんなことを感じながら散策する背後で、実は『光る君へ』のメインテーマ『Amethyst』がずっとスピーカーから流れており、それもまた心が揺さぶられました。
というのも、まひろに「気づいていないとでも?」と詰め寄る黒木華さん演じる倫子が何を告げるのか、そしてラストはいったいどうなるのか、展開が気になって仕方のない『光る君へ』最終回の放送時間が、なんと帰りの新幹線の乗車時間にぶつかっており…。
そのせいか、家に着くまで気持ちがなんだか高まったままでしたが、ともあれ平安貴族ゆかりの地を巡った二日間。今回も充実した旅を無事に終えることが出来ました。
ちなみに、私たちが石山寺を訪問した翌日、そして平安神宮を訪問した数時間後、パブリックビューイングのために京都を訪問していたまひろ役の吉高由里子さんと道長役の柄本佑さんも同じ場所を訪れていたとのこと。主演を務めたお二方のお姿を直接拝見できなかったのは残念でしたが、それでも「ゆかりの地を巡る」という目的がしっかり果たされたようでうれしかったです。
また本ツアーは70名のキャンセル待ちが出たということで、3月中旬に<第二弾>が開催される運びとなりました。前回参加が叶わなかった方も、是非この機会にご検討をいただければ幸いです。
以上、参加された皆さま、そして本郷和人先生、今回もありがとうございました!

《歴史探訪》東大・本郷和人先生が同行!続・平安貴族ゆかりの京都(3/15・16)
本サイトで大河ドラマ解説を務める本郷先生とともに、歴史の舞台を巡るツアー企画。好評につき、徳川編、武田編、そして多くのキャンセル待ちが出た平安貴族編、その第二弾の開催が決定いたしました!

<魅力あふれる旅のポイント>
●観光地を巡るツアーとは違い「歴史」の知識を深める、大人の為の学び旅です
●歴史学者・東京大学史料編纂所教授 本郷和人先生が同行! 現地を実際に見ながら、詳しい説明を聞き、歴史を体感することができます。
●12月に開催して大反響だったツアー続編!『光る君へ』の興奮冷めやらぬ京都・奈良<平安貴族ゆかりの地>を2日間で巡ります。
・聖武天皇の勅願で開基。重要文化財「阿弥陀如来坐像」を所有する「岩船寺」
・平安時代末期、極楽浄土を夢見る浄土信仰が高まる中で作られた国宝「九体阿弥陀如来像」などを所有する「浄瑠璃寺」
・1001躯の観音像が並ぶ「蓮華王院 三十三間堂」
●この時期だけ!<非公開文化財特別公開>の寺院へ。
・世界遺産「醍醐寺」。「三宝院」にて快慶作・弥勒菩薩坐像(重文)を鑑賞
・世界遺産「東寺」。日本一高い木造塔「五重塔」の内部へ
●2日目の昼食後には本郷先生の座談会も。旅で生まれた疑問に先生が直接答えてくれます。
●離れていても案内が聞こえるイヤホンガイド付きで「密」回避!
●ご宿泊は奈良市内の好立地なホテルへ!
*詳しくは読売旅行のサイトでご確認ください。