「成年後見制度」とは?
それが、2000年(平成12年)に施行された「成年後見制度(せいねんこうけんせいど)」です。本人に代わって判断をする「成年後見人」を立てることによって支援する制度です。
それ以前にも、似たような仕組みはありました。民法の「禁治産(きんちさん)」「準禁治産」の規定によって、判断能力が不十分な人の財産を保護することはできたのです。
しかしこれは、本人の社会生活がひどく不自由になる制度で、「禁治産者」という言葉の印象もよくありません。
また、禁治産宣告を申し立てるには数10万円もの鑑定費用がかかることもあって、あまり積極的に利用されませんでした。
しかし社会の高齢化が進み、財産の管理ができない人や契約を結べない人が増えてきたことにより、より利用しやすい制度が必要とされ、できたのが成年後見制度なのです。
かつての制度では、禁治産者や準禁治産者の戸籍への記載や官報公告が義務づけられており、それも利用しにくい要因でしたが、新しい成年後見制度ではそれも廃止されました。
成年後見制度に基づく後見人がいれば、本人に意思確認ができなくても、凍結された銀行口座を「解凍」したり、不動産の処分をしたりすることなどが可能になります。
後見人が手続きをすれば、法的には何の問題もありません。
後見人には、裁判所が選ぶ「法定後見人(ほうていこうけんにん)」と、本人が選ぶ「任意後見人(にんいこうけんにん)」の2種類があるのですが、今はまず前者の話をしましょう。
すでに本人の判断力が不十分な段階では、任意後見人を選ぶことができず、法定後見人をつける以外に方法がないからです。
ちなみに、判断力が未熟な未成年の場合は、親(親権を持つ人)が代理人としていろいろなことを判断します。