超高齢化社会を迎えた今、親の介護は身近なものとなっています。しかし、そんな中子どもが親の財産を代理で処分することが難しくなってきているというのです。いざというときに「親の預貯金がおろせない」「実家が売れない」そんな事態を未然に防ぐにはどうすればいいのでしょうか?テレビ・雑誌で活躍する資産凍結対策のプロ、杉谷範子さんが解説する『親が認知症になると「親の介護に親の財産が使えない」って本当ですか?』より一部を抜粋して紹介します。
判断能力が不十分な人を保護する制度
親が認知症になってしまうと、「親の預金を引き出せない」「実家を売って介護費用に充てることができない」といった不都合が、本人が亡くなるまでずっと続くことになります。
ちなみに、2015年の時点で、65歳以上の高齢者に占める認知症患者の割合は、約16%。
一方、日本人の平均寿命は男性が約81歳、女性が約87歳です。10年も20年も、親の財産が凍結されたままその面倒をみることになったら、家計が破綻してしまうという人も多いのではないでしょうか。
いわゆる「健康寿命」と「平均寿命」の差が小さかった時代なら、財産の凍結はさほど大きな社会問題にはならなかったでしょう。
認知症になってからも多くの人が長生きする時代だからこそ、これは誰にとっても人ごとではない深刻な問題なのです。
では、どうすればいいのか。凍結された財産を「解凍」することが絶対にできないかといえば、決してそんなことはありません。
認知症や精神障害などで判断能力が不十分になった人を法律面や生活面で保護する仕組みがあります。