オペ室看護師の仕事

オペ室看護師の仕事は2種類である。一つは器械出し。手術チームの一員となり、器械台に載せた器械を術者の指示にしたがって素早く術者の手の中に入れる。もたもたすれば手術時間が延びる。術者もイライラする。素早く適切な器械を術者に渡すことが大事だ。

もう一つは外回り。術衣は着ないで、ブルー衣のままである。手術野をよく見て、手術記録用紙に記録をつける。**時**分、開腹……とか、**時**分、胃を切り離す……とか。

手術室の天井には無影灯という照明が大小二つ付けられている。上下左右、自由自在に照らす方向を変えることができる。無影灯という名前を聞くと何か特別に影を作らない照明装置なのかと思われるかもしれないが、普通に影はできてしまう。特に術者が手術野を覗き込むと、自分の頭の影で術野が見えなくなる。

すると、術者から「影!」という声が飛ぶ。外回りの看護師は無影灯を動かし、術野に光を入れる。理屈としては、術者の肩越しに光を入れれば術野がよく見えるはずなのだが、実際にやるとこれがなかなか難しい。

そして出血量の測定。術者にとっても麻酔科医にとっても、手術とは出血との闘いである。

外科医が術野の血液を取り除く方法は二つ。一つは吸引管で血を吸うこと。吸った血は大型のボトルに溜まるので、外回りの看護師は定期的に吸引瓶の目盛りを読んで麻酔科医に伝える。

もう一つはガーゼによる圧迫。術者の足元にはバケツが置かれている。術野の血液をガーゼで拭うと、そのガーゼをバケツに捨てる。外回りはそのガーゼを「火バサミ」(トングのようなもの)で拾い、秤で重量を測定する。重さが100グラムであれば、出血は100グラム=ミリリットルと考える。

麻酔科医は、吸引の量とガーゼの重さで出血量を把握し、輸血をするかどうか決める。