自分の老いを客観的にみつめる

なぜなら、70代の人が80代を生きるのは、初めての経験であり、80代の人が90代を生きるのは、やはり初めての経験だからです。

しかも、昔のように、同じ屋根の下に子や嫁、孫がいるわけでもなく、いても遠方に住んでいれば、ほとんど頼りになりません。ふと隣をみれば、何もしない老夫がぼんやりと座っている。このままでは、もしかして老々介護になるのでは?と思うと、心配で夜も眠れなくなるでしょう。

『老いてもヒグチ。転ばぬ先の幸せのヒント』(著:樋口恵子/清流出版)

だけど、どんな夫でもいないよりはましで、いずれ一人になるかと思うと、これまた不安がつのるというものです。

不安の原因は、自分の置かれている状況がみえていないからだと思います。しかし幸いなことに、不安になる根拠は、国の機関から出ている統計調査をみれば、だいたい把握することができます。

寿命の長さは人それぞれですが、自分の年齢だと、概ねあとどれくらい生きられるのか、そのうち何年くらいは健康でいられるのか。男性も平均寿命が延びているけれど、女性の一人暮らしは年々増えているから、どのみち一人になる確率が高いことなどがわかります。統計調査は、自分の老いを客観的にみつめるのに役立つのです。