「かかりつけ医」をもつ

もう一つの対策が「かかりつけ医」をもつことです。かかりつけ医の定義をかいつまんでいうと、「健康に関することを何でも相談できるうえ、必要な時には専門医、専門医療機関を紹介してくれる、身近で頼れる医師」となります。

ちょっと具合が悪いという時に、気軽に受診できて、問題がありそうだったら精密検査のできる大きな病院につないでくれる……。となれば、確かに頼りになりそうです。ただし、最後に動けなくなった時、そうしたかかりつけ医が往診をして看取りまでしてくれる医師とは限りません。そのあたりの規定が曖昧なのです。

樋口恵子
樋口恵子さん(2022年6月撮影。撮影:婦人公論.jp編集部)

日本医師会と四病院団体協議会[注1]が2013年に出した提言には、「かかりつけ医は地域の高齢者が少しでも長く地域で生活できるように在宅医療を推進する」「今後は『かかりつけ医』がより主体的に在宅医療に取り組んでいく必要がある」という文言が入っています。

また、診療報酬の見直しについて協議する中医協(中央社会保険医療協議会)では、2021年10月、かかりつけ医が初診時加算を受け取る場合は、「往診または訪問診療可能な体制および実績があること」などの条件を定めました。2024年の改定でもその条件はかわりません。

これらのことから考えると、かかりつけ医は「在宅医療に取り組み、往診をする医師」ということになります。