人目を気にして不安になるのは「自意識過剰」が原因

その原因は、自分が思っているほど、周囲の人はこちらを見ていない……ということに気づいていない点にあります。

つまりは、自意識過剰なことが、大きく関係しているのです。

人というのは、こちらが思っているほど、他の人のことを見ていません。

自分が勝手に「見られている」と思い込んでいるだけで、自分のことで精一杯な人が多いため、見ているようでいて、実は見ていないことがほとんどなのです。

講演会などに呼ばれた際に、私は簡単な実験をすることがあります。

「なぜ人目が気になるのか?」といったテーマについて話しながら、パッとネクタイを上着で隠して、聴衆のみなさんにこう問いかけてみるのです。

「私のネクタイの色を覚えていますか?」

この質問に明確に答えられる人は、滅多にいません。

講演会の「主役」であっても、このくらいの認識ですから、日常的な接触で他の人が自分に関心を持っていると考えるのは、自意識過剰であるだけでなく、自信過剰ともいえます。

「いい人に見られたい」という欲望が、緊張や不安を引き寄せているのです。

 

※本稿は、『仕事も対人関係も 落ち着けば、うまくいく』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。


仕事も対人関係も 落ち着けば、うまくいく』(著:和田秀樹/クロスメディア・パブリッシング)

どうすれば緊張せずに、本来の自分でいられるのか?

どうしたら焦らずに、本領を発揮できるのか?

精神医学や心理学の視点から、気持ちを落ち着かせて、平常心を取り戻し、本来の自分の実力を発揮する方法をお伝えします。