「不安やイライラ、めまい、不眠などの不調を訴えて『過緊張』や『不安症』と診断されるビジネスパーソンが増加傾向にある」――。そう指摘するのは、精神科医の和田秀樹先生です。人前に出ると頭が真っ白になったり、過度な緊張状態が続いて自律神経のバランスが崩れたり…。緊張や焦り、不安を落ち着かせるためには、どうすればよいのでしょうか。今回は和田先生の新著『仕事も対人関係も 落ち着けば、うまくいく』より、精神医学や心理学の観点から、平常心を取り戻して自分の本領を発揮するための方法を一部ご紹介します。
「かくあるべし」「二分割」「勝ち負け」思考が不安を生む
緊張したり、不安になるなど、気持ちが落ち着かなくなる原因は、「思考習慣」が大きく関係しています。
自分の思考習慣がバイアス(先入観や偏見)となって、不安や緊張を生み出しているのです。
次のような三つの考え方が、その典型的なパターンといえます。
思考習慣(1)かくあるべし思考
かくあるべし思考とは、物ごとを「こうあるべき」と決めつけて、それに反することは許さないという偏(かたよ)った考え方を指します。
「いくら体調が悪くても、会社を休むべきではない」とか、「仕事が終わらなければ、残業するのが当たり前」など、自分が「こうあるべき」と考える価値観で自分を縛り、他の人にもそれを強要するのが、この思考習慣の特徴です。
かくあるべし思考の人は、自分が思っている通りに物ごとが進まないと、急に焦り出して、不安な気持ちになります。
世の中は予定調和で回っているわけではありませんから、「この道もあるけど、あの道もある」など、他の可能性や選択肢を考える習慣を身につける必要があります。