何事もなかったように帰ってきた兄

私は、認知症の母が交通通事故にあい、救急車で付き添って行った兄が行方不明になっていたことを話した。統合失調症であることも伝えた。いま、病院から母を連れて帰ったが、認知症があるので外に出ようとしていると伝えた。

すると警察官は、「それは大変だ。お兄さんを家に連れて行きます」と言ってくれた。私はケアマネジャーさんとヘルパーさんにお礼を言い、帰ってもらった。

そして、母と兄の好きなレトルトカレーを茹で、電子レンジでライスを温め、皿に盛った。

兄は何事もなかったように帰ってきた。そして、母と兄は何事もなかったようにカレーライスを食べだした。

しかし、私には用事があった。玄関には警察官がいて、兄のことを正確に記録しなくてはならないので聞いてきた。私は素直に答えるしかなかったが、兄の身長は知っているものの足のサイズは分からなかった。兄に直接聞くと、何のためだと動揺するようでやめた。すると警察官は兄の脱いだ靴を手に取り、自分の靴の裏に合わせ、「僕と同じサイズだな」と言って用紙に書き込んだ。

警察官に「2人も抱えて大変ですね。あなたは体を大切にしてくださいよ」と言われた。