持続可能な移住促進のために

移住や定住の促進を目的とした大胆な金銭的支援の効果は一過性のものに過ぎず、長い目でみれば自治体間の過度な競争を招き、疲弊感や消耗戦をもたらす可能性が高いと言えるでしょう。

「自分たちの地域だけが残ればよい」「いまだけ人口が増えればよい」では、本来、手を取り合うべき自治体間の連携は進まず、移住者にとって優しい移住促進も実現しません。

金銭的な移住支援は、あくまでその地域への移住や定住を希望する人の背中を後押しする位置づけとし、「金の切れ目が縁の切れ目」にならないよう非金銭的支援を厚くしていくことが、持続可能な移住促進を実現する上でますます重要になってきているのです。

※本稿は、『数字とファクトから読み解く 地方移住プロモーション』(学芸出版社)の一部を再編集したものです。


数字とファクトから読み解く 地方移住プロモーション』(著:伊藤将人/学芸出版社)

競争や流行にとらわれず、まちに本当に必要な“移住者”と出会うには?

「フェアで持続可能な移住促進はどうすれば可能か」という視点から、移住をめぐる研究結果や統計調査など様々な“ファクト”を豊富に紹介。

33のトピックに分け、課題や葛藤を乗り越えるための考え方やアイディアを提示します。