──志麻さんが監督に認められていると思う点は。

岩下 毎日の食事の献立とか何かの御礼状代筆とか、それくらいかしら。

小山 志麻ちゃんのところはお二人とも元気だから、まだまだ二人で何か楽しいことができるわね。

岩下 私は野球狂で、それが唯一の楽しみ。かじりつきで見ていると、隣で篠田が「ほら、三振するぞー」とか私が心配してることを叫ぶんです(笑)。昨年は、ラグビー観戦も夫婦で盛り上がりましたね。今になって、お互いに年を取ってよくここまで頑張ってこられたとつくづく感じます。

小山 私、最近、一口馬主になったんです。ラプタスっていうんですが、その子が3回優勝したの。孫の家で馬が走るのを見て大騒ぎするのが、家族の楽しみ。私もあとどれだけ生きるかわからないけれど、楽しいことがなくては人生つまらない。まだまだいろんなことに挑戦したいわね。

──最後に、お二人がそれぞれのご主人とお作りになった映画のベスト3を。

岩下 そうね、皆好きだけど私的にはやっぱり『はなれ瞽女(ごぜ)おりん』、それから『心中天網島』『鑓(やり)の権三(ごんざ)』でしょうか。ベルリン映画祭で銀熊賞をいただきましたし。

小山 私は『少年』と『日本の夜と霧』。そしてうちは社会派で地味ですからね、『絞死刑』とか『儀式』とか。でもカンヌ映画祭では『愛のコリーダ』や『戦場のメリークリスマス』が評判になったの。

岩下 『卑弥呼』とか『沈黙』もカンヌ映画祭に出品して、篠田と一緒に行ったりして思い出深いですけど、『鑓の権三』を撮り終えたときに、僕はもう岩下志麻主演の映画は撮らない、と断言されて、その後の篠田の作品では全部脇に回ってます。『瀬戸内少年野球団』とか『悪霊島』とか、最後の作品『スパイ・ゾルゲ』とかにもちょっと出て。脇ってまた楽しいんですよ。

小山 そうね。私も『愛の亡霊』とかにちょっと出たりもしていて、楽しかったですね。

──どうぞますますお元気で、これからもご活躍くださいませ。