そしてもう1つ、仲間である従業員の信頼を失いかねない、大きな失敗をしたこともありました。手狭になった創業時の店舗を、現在本店を構えている場所に移転したときのこと。
借金がかさみ、経営者としてギリギリのところまで追い込まれた僕は、従業員同士が楽しそうに話す姿にさえイライラしてしまっていました。その気持ちが全身からにじみ出ていたのでしょうね。
ある日、創業時から働いてくれている女性に「前はアキダイって楽しそうなお店だな、こんな店で働きたいなってお客さんに思われていただろうけど、今は大変そうだなって思われているんだろうな」と言われたのです。
それを聞いたとき、「お客さんも従業員も笑顔になる店を作ろうと思って始めたのに、どこで間違えたんだ?」と、ハッとして。「暗い顔をするのは一人のときだけ」と心に決めたのです。
とはいえ、人は感情が顔に出てしまいがち。ですからアキダイは今、店内の壁を鏡張りにしています。これは、店舗を広く見せたり、売り場を明るくするためでもあるけれど、自分の表情に気づきやすいから。
不機嫌な顔になっていると思ったら、気持ちを切り替え、口角を上げる。小さいことだけど、大事なことだと思っています。