「住みたい街」上位常連にも大量の空き家予備軍

こうした傾向は神奈川県横浜市でも鮮明です。【図表3】は、横浜市18区における空き家数、個人住宅空き家数を掲げたものです。

<『新・空き家問題――2030年に向けての大変化』より>

東京都と同様、港南(こうなん)区、中区、神奈川区、鶴見区、港北(こうほく)区といった比較的古くから開発が行なわれたエリアで空き家数が増えていることがわかります。

昭和後半から平成バブル時代頃にさかんに住宅分譲がなされた泉区、瀬谷(せや)区、栄区、金沢区などは現状では空き家数、個人住宅空き家数も少ないですが、これらのエリアを選択した世代に相続が発生し始めるのはこれからです。

「住みたい街」上位常連の横浜でさえ、大量の空き家予備軍があることは、これからの首都圏大量空き家問題の勃発を予感させます。

※本稿は、『新・空き家問題――2030年に向けての大変化』(祥伝社)の一部を再編集したものです。

【関連記事】
牧野知弘 タワマン高層部に人気が集中する「眺望の良さ」以外の理由とは…「特権」を使える超高額マンションの高騰が続くのは必然だった
牧野知弘 デベロッパーが外国資本による<高額マンションの買い占め>を歓迎している理由とは…「晴海フラッグ」が売れているウラ事情
牧野知弘 もはや短絡的に「都心部のマンションは必ず値上がりする」という結論にはならない…それでもマンションを所有するならどのエリアがいいか

新・空き家問題――2030年に向けての大変化』(著:牧野知弘/祥伝社)

今後、首都圏に大量相続時代が到来し、さらなる空き家の増加が予想されている。

どうすれば空き家を減らせるのか。空き家になったらどう対処するのか。

空き家を通して、日本社会の「現状」と「近未来」を読み解く。