牧野さん「富裕層がもっとも嫌うのが、資産価値が落ちていくこと」(写真提供:Photo AC)
「かつて超高額マンションと言えば1億円、いわゆる『億ション』でした。ところが今や、3億円を超える住戸は珍しくありません」と語るのは、オラガ総研代表取締役の牧野知弘さん。今回は、マンション価格高騰の背景を牧野さんに解説していただきました。牧野さんいわく、「富裕層がもっとも嫌うのが、資産価値が落ちていくこと」だそうで――。

超高額マンションを使った節税

富裕層が超高額マンションを買う理由に、資産防衛の観点があります。よく、富裕層の多くは「ケチだ」と言われます。

逆説的に言えば、ケチだからお金が貯(た)まるという理屈でもあります。

そうしたケチな富裕層がもっとも嫌うのが、資産価値が落ちていくことです。ここに、資産防衛という考え方が生まれるのです。

現金をたくさん持っていることはお金持ちの象徴です。

ただ現金という資産は、持っているだけではそれ以上の資産を生み出してはくれません。1980年代~1990年代はじめ、銀行などに預けておけば、年間で数%の利息が付きました。

しかし、バブル崩壊以降、日本の預金金利は下がり続け、今では銀行に預けても、雀(すずめ)の涙ほどの利息しか付きません。