調査チームが下した「結論」

しかし、結局、代表者をはじめとする関係者から、直接返答を得ることはできなかった。調査は、関係書類などの閲覧という間接的な作業に終始し、通常の海外コンサルタントとの業務契約に比して破格の契約金額が何を意味するのか、といった核心にはまったく近づくことができないまま終わった。

コンサル会社の代表者が「雲隠れ」したことなどから、調査によって、疑惑はむしろ深まったとさえ言える。

『「第三者委員会」の欺瞞-報告書が示す不祥事の呆れた後始末』(著:八田進二/中央公論新社)

ここまでなら、「期待外れだった」ですむかもしれない。驚くのは、そこから先だ。

そんな未消化の調査結果だったにもかかわらず、調査チームは、「招致委員会関係者」について、「『オリンピック関係者』等への贈与の禁止を含むIOC(国際オリンピック委員会)の規程を十分認識し、また、本件契約の際にも『オリンピック関係者』等への贈与の認識を何ら有していなかった」と、明確な“シロ”認定を下しているのである。

しかし、19年1月、フランス当局が招致に絡む汚職の疑いで竹田氏の訴訟手続きに入った、と同国メディアが報じた。

それを受けて会見した竹田氏は、あらためて「不正はなかった」と主張するのだが、その根拠の一つとされているのが、ほかならぬ「日本の法律において契約に違法性はなく、コンサル会社への支払いも適切だった」という、この調査チームの「結論」だった。