17年頃、イタリアにて恩師のリナ先生と(写真提供:笛田さん)

笛田さんはイタリア留学を終えたあと、往年の名テノール、五十嵐喜芳(きよし)さんの愛娘で声楽家の麻利江さんに師事している。

麻利江さんによると、「二人は年中咳払いしてるところがよく似てるの。父のは喉で、彼のは鼻で、という違いはあるけど」とのこと。

――そうですか(笑)。咳払いというか、息継ぎの時にクスンと鼻に抜くと声がリセットされるような気がするんですね。とにかくオペラというのは、最後の一音が引っくり返っただけでもブーイングが起きますからね。誰が聴いてもその失敗がわかりますから過酷なものです。

五十嵐喜芳先生にはイタリア留学の前にお会いしていて、「僕は教えるのが得意じゃないけど、麻利江はちゃんとしてるから」と言われたことがあった。

留学から帰ってまた迷子になったみたいで、まぁ不安になってくるんですよね。それで麻利江さんについて、以来ずっとお世話になってます。