日本のメディア産業、ポップカルチャーの礎を築き、時にお上に目を付けられても面白さを追求し続けた人物“蔦重”こと蔦屋重三郎の生涯を描く大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』(NHK総合、日曜午後8時ほか)。ドラマが展開していく中、江戸時代の暮らしや社会について、あらためて関心が集まっています。一方、歴史研究者で東大史料編纂所教授・本郷和人先生がドラマをもとに深く解説するのが本連載。今回は「財政改革」について。この連載を読めばドラマがさらに楽しくなること間違いなし!
深刻な問題となった<幕府の財政赤字>
前回、炭販売の資金を都合してもらうべく田沼意次のもとをおとずれた平賀源内。
そこで「開国」も含めて、幕府の財政を豊かにするための方策について二人は議論を交わす、というシーンが描かれました。
すでにドラマでは、幕府の財政運営に限界を感じた意次が改革を推し進めるも、保守的な老中首座・石坂浩二さん演じる松平武元らとぶつかる、という場面がたびたび出てきていますが、実際、江戸幕府が開かれて100年も経過すると、財政赤字が深刻な問題になったために、たびたび改革が求められることになります。
今回はその「財政改革」について考えてみたいと思います。