国会における多数決のあり方

でもやっぱり、多数決という方法はとても危険な決定方法です。

たとえば内閣府のまとめによると、日本社会には身体障害や知的障害、精神障害など、障害がある方々が人口の7%を超えると言われています。ここに発達障害やお年寄りの障害などを加えれば、さらにたくさんの人たちがなんらかの障害を持って暮らしていることになります。

でも、これだけの数の障害のある方々がいるにもかかわらず、人口全体から見れば、やはりマイノリティ(少数派)です。

もし、国会運営で対話と合意なく、単純に数の論理で決めることが当たり前になってしまえば、こうした少数派にとって不利益な社会がつくられていくことになるのは明らかですよね。

「国会における多数決は、かぎられた時間の中で対話と議論をつくした後の最終手段でなければならない」ということです。だからこそ、国会議員の対話の質が重要ということにもなります。

 

※本稿は、『考える。動く。自由になる。-15歳からの人生戦略』(実務教育出版)の一部を再編集したものです。


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