どんな仕事も手を抜かない

子どものための教育書も、「確実に売れる」という堅実なジャンルだった。蔦重は初期の頃から、その企画に着手している。

確実に売れるから、正直さほど、ここに予算をかける必要はない。ところがその子どもの教育書の挿画を、蔦重は北尾重政に依頼した。美人画にも傑作を残し、北尾派という一門を率いたほどの大物の絵師である。

(写真提供:Photo AC)

重政も蔦重も、子ども向けの本だろうが、手を抜かない。どんなジャンルでも、最高傑作をめざす。そんな姿勢があったからこそ、蔦重の仕事は信頼された。

 

※本稿は、『蔦屋重三郎の慧眼』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の一部を再編集したものです。


蔦屋重三郎の慧眼』(著:車浮代/ディスカヴァー・トゥエンティワン)

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