肩こり、腰痛、ヘバーデン結節の実情
例えば肩こりを例に挙げましょう。これは症状を抱えている人の数(有訴者数)が女性では1位、男性でも2位という、とても頻度の高い「ありふれた」症状です。
しかし、肩こりで困っている人がこれほど多いにもかかわらず、肩こりの原因はほとんど何もわかっていないと言えるほど、肩こりに対する医療は進んでいません。そして医療機関に行ってもこれまでは有効な治療法が提示できていませんでした。
パソコンの普及とともにデスクワークが増えて、スマートフォンが普及して、これだけ多くの人が肩こりに悩まされているのに、それを治す方法が見つかっていないなんて非常に困ったことだと思いませんか? しかし、実情はそうなのです。
次に腰痛はどうでしょう?
世界で最も権威のある医学雑誌の1つである『ランセット』に掲載された研究によると、今ある腰痛治療のほとんどが根本的な治療ではなく、症状を一時的に緩和するための「対症療法」であり、反対に有害なものも多く行なわれている(それくらいきちんとした医療行為がない)と報告されています。【文献(2)】
私は、2024年の6月21日に、テレビ朝日の『羽鳥慎一 モーニングショー』という番組に出演しました。その際のテーマは「ヘバーデン結節」で、指先に痛みが出る疾患です。
このヘバーデン結節に悩む患者さんは国内に300万人、あるいはそれ以上いるとされていて、レントゲンで見ると、3人に1人は手の第一関節に変形があるとも言われています。ヘバーデン結節になると日常生活で当たり前にできていたことができなくなります。
しかし、このヘバーデン結節も、今まで病院では治らないと言われてきました。現在でも、多くの整形外科では「治らない」と患者さんに伝えています。
【文献(2)】Non-specific low back pain. Maher C, Underwood M,Buchbinder R. Lancet. 2017 Feb 18;389(10070):736-747.