肩こりや腰痛に悩み、病院に行ってレントゲンを撮っても「原因がわからない」と診断されてしまった……という方もいるのではないでしょうか。オクノクリニック総院長の奥野祐次先生によると、このような<ありふれた痛み>の原因は<血管>にあるとのこと。そこで今回は、東京医科大学准教授・遠藤健司先生との共著『こんなに痛いのにどうして「なんでもない」と医者に言われてしまうのでしょうか』から、奥野先生による解説を一部お届けします。
長引くありふれた痛みの場所にできる、モヤモヤ血管
肩こりや五十肩、ヘバーデン結節、あるいは膝の痛みや腰痛に至るまで、多くのありふれた痛みの原因の中心にあるモヤモヤ血管とは何なのか? なぜ痛みが出てしまうのか? について、ここで簡単にまとめておきたいと思います。
モヤモヤ血管は関節のまわり、腰、肩こりなどの長引く痛みの部分にできる異常な血管のことを指します。モヤモヤ血管は神経と一緒に増えてしまい、炎症を助長して治りにくい痛みを作ってしまうのです。
私は、2007年にがん治療をやっている傍ら、腰痛や五十肩、膝の痛みなどのありふれた関節痛の場所に異常な血管が増えていることを発見し、それを減らす新しい方法を開発して、2012年頃から論文を書き、海外の医学雑誌にその成果を発表してきました。
しかし、「痛みの原因は、血管だ!」などと突然聞かされたら、皆さんはすんなりと納得できるでしょうか?
「どうして血管が痛みと関係あるの?」「血管って体にとっていいものなんじゃないの?」という疑問が湧くと思います。
しかし、実際にこのモヤモヤ血管の治療は、2022年にはアメリカで保険適用され、2023年にはドイツでも保険診療として認められ、現在では両国でたくさんの人が治療を受けています。またこの2カ国だけでなく、ヨーロッパや南米、中東、アジアでも多くの国で実施されています。
『こんなに痛いのにどうして「なんでもない」と医者に言われてしまうのでしょうか』を執筆している現在(2024年9月)、日本では保険診療の対象ではありませんが、数年先には保険診療になる見込みです。