日本で発掘の実践を積む

このような経験をしてきたこともあり、件の「エジプトの発掘調査にはどうすれば連れて行ってもらえるのか」という質問に対して、最近「日本の発掘現場でアルバイトして、経験を積んでおいて下さい」、あるいは「駒澤大学の考古学研究会に入って、考古学の基礎を学んでおいて下さい」と付け加えることも多い。

たとえ日本の現場でもそれは海外発掘の際に間違いなく役に立つことを私自身が身に染みて知っているからである。

もちろん、だからといって調査のためにエジプトに連れて行けるかどうかはわからない。協調性や忍耐力など個人の適性を見極めなければ後々大変であるからだ(保護者からの許可も重要だ)。

ただ日本であろうが、エジプトであろうが、シリアであろうが、イタリアであろうが、中国であろうが、韓国であろうが、考古学で使用する道具や機器には大差がないし、発掘調査の手順もそれほど変わりがないことも事実だ。

日本独自に発展し使用されている真弧(まこ)(土器の形状を実寸で写し取ることができる竹の実測道具)(写真)のような珍しい実測道具もあるが……。

真弧を用いて土器実測中(写真:『考古学者だけど、発掘が出来ません。 多忙すぎる日常』より)

ということで、やたらと忙しい最近は、YouTubeチャンネル(『おおしろ教授の古代エジプトマニア』)で質問を受け付け、そこでいろいろ回答するようにしている。皆さん、あまり難しくない質問をお待ちしております。可能な限り懇切丁寧にお答えいたします。お気に召したら駒澤大学を受験して下さいね!

※本稿は、『考古学者だけど、発掘が出来ません。 多忙すぎる日常』(ポプラ社)の一部を再編集したものです。


考古学者だけど、発掘が出来ません。 多忙すぎる日常』(著:青山和夫、大城道則、角道亮介/ポプラ社)

とにかく休みが来ない!

毎日17時間労働、2泊4日のエジプト弾丸ツアー、ジャングルで黒い物体に追われる……。

考古学者たちの「働き方改革」とは無縁な日々。