2022年10月1日に永眠された、プロレスラー・アントニオ猪木さん。実弟である猪木啓介さんは2025年2月、アントニオ猪木さんのライセンス運営を管理する「株式会社猪木元気工場」の新社長に就任し、<元気>を発信し続けています。今回は、啓介さんが<人間・猪木寛至>のすべてを明かした書籍『兄 私だけが知るアントニオ猪木』から、一部を抜粋してお届けします。
倍賞美津子との「1億円挙式」
「女優の倍賞美津子と結婚することになった」
兄貴からそんな連絡があったのは1971(昭和46)年のことだった。
日本の芸能界についてそれほど詳しくなかった私たちも『男はつらいよ』のヒロイン「さくら」を演じていた倍賞千恵子さんの名前は知っていたし、その妹である美津子さんと聞けば、詳しくは知らなくとも日本での人気ぶり、活躍ぶりは想像がついた。
最初に結婚した(入籍はしていなかった)ダイアナさんとはすでに話し合いのすえ別れ、美津子さんとの結婚に支障はないという。後に聞いたところでは、日プロの先輩・豊登通春の紹介で意気投合したらしい。
プロレス界ではジャイアント馬場と並ぶスター選手となっていた兄貴も、やはり王貞治、長嶋茂雄といった巨人の看板選手や、芸能界の大スターと比べれば知名度は劣る。実際、当時は「猪木が結婚」ではなく「倍賞美津子がプロレスラーのアントニオ猪木と結婚」と報じられたことのほうが多かった。