家族全員が揃う夕食

フィレンツェに住んでいる時はそこから1日の後半が始まるような感じで、ドゥオモの前で待ち合わせして旧市街でデートしたり、大型スーパーに買い出しに行ったりと、時間を有効活用していました。

郊外の田舎に住んでいる今は、夫の帰宅は17時。息子たちのクラブ活動の送り迎えや、帰宅前にスポーツジムへ行ったりしています。次男の高校は勤務先と近いので、外出許可をとって保護者面談に行ったりも! 

今は変わったのかもしれませんが、私が日本で働いている頃は、毎日残業でアフター5は夢物語。

仕事だけの毎日は嫌だと趣味で通い始めたイタリア語教室は、残業を見越して20時からの最終レッスンを選んだものの、結局、行くことができたの半分くらい……なんと儚はかなかったことでしょう。

いっぽう、勤務先や役職にもよりますが、イタリアではサービス残業はありません。

残業代を支払うか残業時間を積み立てて有給休暇になるために、経営側も残業はしてはほしくないのです。

残った仕事は翌日へ持ち越し、たとえ仕事が忙しかったとしても、有給休暇もすべて消化させられます。

朝が早いぶん仕事後も充実していて、夕食が20時開始と遅いこともあり、家族が全員揃わない夕食はまずありません。

アぺリティーヴォ(食事前の軽い飲み)だ、ピッツェリア(ピザ専門店)だと外食によく出かける人たちも。

毎日元気はつらつで、そしてなんと楽しんでいるんだろうと、移住したての頃は仕事帰りはクタクタな日本とのギャップに驚いたものでした。

 

イタリア流。』(著:中山久美子/大和出版)