「物価高や不景気の影響で娯楽を控えてる」「趣味がなく日常がマンネリ化」そんな日々を退屈に感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。そのようななか、「なんてことのない日々こそありがたく、そこに誰でもさまざまな思いがあり、そのどれもがそのままで正解なんじゃないか」と語るのは、夫や息子、愛犬との生活をつづるインスタグラムが話題のモデル・浜島直子さん。そこで今回は、浜島さんの喜怒哀楽が詰まったエッセイ集『キドアイラク譚』から一部引用、再編集してお届けします。
「第二感情」
息子が5歳の頃、スーパーで男性に大声で怒鳴られたことがありました。
2020年の春、今までの当たり前が当たり前ではなくなってしまうような、得体の知れない不安に包まれてきた頃でした。
「小さな子とスーパーに行かない方がいい」というステイホーム中の暗黙の了解が出来上がる前だったというのは、今となれば私の言い訳ですが、そのときは「少しでも気分転換になれば」と一緒に出かけてしまったのでした。
息子と一緒にお肉を選んでいるとき、久しぶりにスイミングスクールのお友達に会えました。スイミングスクールは早々に中止になっていたので、息子とそのお友達は喜びの奇声をあげて、鉄砲玉のように走りだしました。あっという間の出来事でした。
ネズミが2匹、シュッと通り過ぎるような勢いで、お魚コーナーを駆け抜け、卵コーナー、惣菜、ドリンク、パンのコーナーまで円を描きました。これは純粋に追いかけてもダメだと、私は先回りしてお酒のコーナーで立ちはだかり、2匹のネズミを無事捕獲しました。